
[ 1 ]
◆14億人を格付けする中国の「社会信用システム」本格始動へ準備
<長々とゲームをするのは怠け者、献血をするのは模範的市民、等々、格付けの高い者を優遇し、低い者を罰するこのシステムにかかれば、反政府活動どころかぐれることもできない>
中国で調査報道記者として活動する劉虎(リウ・フー)が、自分の名前がブラックリストに載っていたことを知ったのは、2017年に広州行の航空券を買おうとした時のことだった。
航空会社数社に搭乗予約を拒まれて、中国政府が航空機への搭乗を禁止する「信頼できない」人間のリストを保有しており、自分がそれに掲載されていたことに気づいた。
劉は、2016年に公務員の腐敗を訴えるソーシャルメディアに関する一連の記事を発信し、中国政府と衝突した。
政府から罰金の支払いと謝罪を強要された劉はそれに従った。
これで一件落着、と彼は思った。
だがそうはいかなかった。
彼は「不誠実な人物」に格付けされ、航空機に乗れないだけではなく、他にも多くの制限を受けている。
「生活がとても不便だ」と、彼は言う。
「不動産の購入も許されない。娘を良い学校に入れることも、高速列車で旅することもできない」
■国家権力による監視とランク付け
劉はいつのまにか、中国の「社会信用システム」に組み込まれていた。
中国政府は2014年に初めてこのシステムを提案、市民の行動を監視し、ランク付けし、スコアが高いものに恩恵を、低いものに罰を与えると発表した。
この制度の下で、エリートはより恵まれた社会的特権を獲得し、ランクの底辺層は実質的に二流市民となる。
この制度は2020年までに、中国の人口14億人すべてに適用されることになっている。
そして今、中国は劉のように「悪事」を犯した数百万人に対し、鉄道と航空機の利用を最長1年間禁止しようとしている。
5月1日から施行されるこの規則は、「信用できる人はどこへでも行くことができ、信用できない人は一歩を踏み出すことすらできないようにする」という習近平国家主席のビジョンを踏まえたものだ。
これは近未来社会を風刺的に描いたイギリスのドラマシリーズ「ブラックミラー」のシーズン3第1話『ランク社会』のプロットにそっくりだ。
ドラマはSNSを通じた他人の評価が実生活に影響を与えるという架空の社会が舞台だが、中国において暗黙の脅威となるのは、群衆ではなく、国家権力だ。
中国政府はこのシステムの目的は、より信頼のおける、調和のとれた社会を推進することだと主張する。
だが、この制度は市場や政治行動をコントロールするための新しいツールにすぎないという批判の声もある。
人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの上級研究員マヤ・ワンは、「社会信用システムは、善行を奨励し、悪行を処罰するために習政権が実施する、完全支配のシステムだ。それも進化する」と本誌に語った。
「制度が成熟すると共に、逆らう者への処罰はひどくなるだろう」
社会信用システム構想発表時の文書によれば、政府は2020年までに最終的なシステムの導入をめざしている。
国家的なシステムはまだ設計段階にあり、実現の途上にあるが、地方自治体は、市民に対する様々な方法を試すために、独自のパイロット版を立ち上げている。
中国最大の都市上海では、親の世話を怠る、駐車違反をする、結婚の登録の際に経歴を偽る、列車の切符を転売するといった行為は、個人の「信用スコア」の低下につながりかねない。
■民間企業も類似システムを開発
中国南東部の蘇州は、市民を0から200までのポイントで評価するシステムを採用。
参加者は全員100の持ち点から始める。
警察によれば、2016年に最も模範的だった市民は、献血を1リットル、500時間以上のボランティアを行って、最高の134ポイントを獲得したという。
ポイント数に応じて、公共交通機関の割引や病院で優先的に診察してもらえるなどの特典が与えられる。
ニューズウイーク 2018年5月2日(水)17時20分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/14-8.php
<長々とゲームをするのは怠け者、献血をするのは模範的市民、等々、格付けの高い者を優遇し、低い者を罰するこのシステムにかかれば、反政府活動どころかぐれることもできない>
中国で調査報道記者として活動する劉虎(リウ・フー)が、自分の名前がブラックリストに載っていたことを知ったのは、2017年に広州行の航空券を買おうとした時のことだった。
航空会社数社に搭乗予約を拒まれて、中国政府が航空機への搭乗を禁止する「信頼できない」人間のリストを保有しており、自分がそれに掲載されていたことに気づいた。
劉は、2016年に公務員の腐敗を訴えるソーシャルメディアに関する一連の記事を発信し、中国政府と衝突した。
政府から罰金の支払いと謝罪を強要された劉はそれに従った。
これで一件落着、と彼は思った。
だがそうはいかなかった。
彼は「不誠実な人物」に格付けされ、航空機に乗れないだけではなく、他にも多くの制限を受けている。
「生活がとても不便だ」と、彼は言う。
「不動産の購入も許されない。娘を良い学校に入れることも、高速列車で旅することもできない」
■国家権力による監視とランク付け
劉はいつのまにか、中国の「社会信用システム」に組み込まれていた。
中国政府は2014年に初めてこのシステムを提案、市民の行動を監視し、ランク付けし、スコアが高いものに恩恵を、低いものに罰を与えると発表した。
この制度の下で、エリートはより恵まれた社会的特権を獲得し、ランクの底辺層は実質的に二流市民となる。
この制度は2020年までに、中国の人口14億人すべてに適用されることになっている。
そして今、中国は劉のように「悪事」を犯した数百万人に対し、鉄道と航空機の利用を最長1年間禁止しようとしている。
5月1日から施行されるこの規則は、「信用できる人はどこへでも行くことができ、信用できない人は一歩を踏み出すことすらできないようにする」という習近平国家主席のビジョンを踏まえたものだ。
これは近未来社会を風刺的に描いたイギリスのドラマシリーズ「ブラックミラー」のシーズン3第1話『ランク社会』のプロットにそっくりだ。
ドラマはSNSを通じた他人の評価が実生活に影響を与えるという架空の社会が舞台だが、中国において暗黙の脅威となるのは、群衆ではなく、国家権力だ。
中国政府はこのシステムの目的は、より信頼のおける、調和のとれた社会を推進することだと主張する。
だが、この制度は市場や政治行動をコントロールするための新しいツールにすぎないという批判の声もある。
人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの上級研究員マヤ・ワンは、「社会信用システムは、善行を奨励し、悪行を処罰するために習政権が実施する、完全支配のシステムだ。それも進化する」と本誌に語った。
「制度が成熟すると共に、逆らう者への処罰はひどくなるだろう」
社会信用システム構想発表時の文書によれば、政府は2020年までに最終的なシステムの導入をめざしている。
国家的なシステムはまだ設計段階にあり、実現の途上にあるが、地方自治体は、市民に対する様々な方法を試すために、独自のパイロット版を立ち上げている。
中国最大の都市上海では、親の世話を怠る、駐車違反をする、結婚の登録の際に経歴を偽る、列車の切符を転売するといった行為は、個人の「信用スコア」の低下につながりかねない。
■民間企業も類似システムを開発
中国南東部の蘇州は、市民を0から200までのポイントで評価するシステムを採用。
参加者は全員100の持ち点から始める。
警察によれば、2016年に最も模範的だった市民は、献血を1リットル、500時間以上のボランティアを行って、最高の134ポイントを獲得したという。
ポイント数に応じて、公共交通機関の割引や病院で優先的に診察してもらえるなどの特典が与えられる。
ニューズウイーク 2018年5月2日(水)17時20分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/14-8.php
[ 40 ]
>>1
北より先にクーデター起きそう
北より先にクーデター起きそう
[ 2 ]
※続きです
蘇州当局は、次の段階として、運賃のごまかしやレストランの予約の無断キャンセル、ゲームの不正行為といった軽犯罪に対してもこのシステムを拡大し、市民を処罰する可能性があると警告した。
中国の電子商取引企業も顧客の人物像を把握するために、顔認証などの高度な技術を使って、似たような試験プログラムを実施している。
政府は、社会信用システムの開発にむけて民間企業8社にライセンス供与している。
中国最大手IT企業・アリババ系列の芝麻信用(セサミ・クレジット)は、ユーザーの契約上の義務を達成する能力や信用履歴、個人の性格、行動や嗜好、対人関係という5つの指標に基づいて、350から950の信用スコアを割り当てている。
個人の買い物の習慣や友人関係、自分の時間を過ごす方法などもスコアに影響を与える。
「たとえば、10時間ビデオゲームをプレイする人は、怠け者とみなされる」と、セサミ・クレジットのテクノロジーディレクターであるリ・インユンは言う。
「おむつを頻繁に購入する人は親とみなされる。親は概して責任感がある可能性が高い」
同社はそうした数値を計算するための複雑なアルゴリズムを明らかにすることを拒否しているが、既にこのシステムに登録された参加者は数百万にのぼる。
セサミ・クレジットはウェブサイトで、公的機関とのデータ共有はしていないと主張している。
中国政府がこの試験的構想から全国統一のシステムを作り出し、計画どおりに実施するなら、中国共産党はすべての国民の行動を監視し、方向付けることができるようになる。
言い換えれば、習は完全な「社会・政治的統制」の力を握るだろうと、中国研究機関メルカトル・チャイナ・スタディーズのサマンサ・ホフマンは本誌に語った。
「このシステムの第一の目的は、党の力を維持することだ」
※おわり〆 .
蘇州当局は、次の段階として、運賃のごまかしやレストランの予約の無断キャンセル、ゲームの不正行為といった軽犯罪に対してもこのシステムを拡大し、市民を処罰する可能性があると警告した。
中国の電子商取引企業も顧客の人物像を把握するために、顔認証などの高度な技術を使って、似たような試験プログラムを実施している。
政府は、社会信用システムの開発にむけて民間企業8社にライセンス供与している。
中国最大手IT企業・アリババ系列の芝麻信用(セサミ・クレジット)は、ユーザーの契約上の義務を達成する能力や信用履歴、個人の性格、行動や嗜好、対人関係という5つの指標に基づいて、350から950の信用スコアを割り当てている。
個人の買い物の習慣や友人関係、自分の時間を過ごす方法などもスコアに影響を与える。
「たとえば、10時間ビデオゲームをプレイする人は、怠け者とみなされる」と、セサミ・クレジットのテクノロジーディレクターであるリ・インユンは言う。
「おむつを頻繁に購入する人は親とみなされる。親は概して責任感がある可能性が高い」
同社はそうした数値を計算するための複雑なアルゴリズムを明らかにすることを拒否しているが、既にこのシステムに登録された参加者は数百万にのぼる。
セサミ・クレジットはウェブサイトで、公的機関とのデータ共有はしていないと主張している。
中国政府がこの試験的構想から全国統一のシステムを作り出し、計画どおりに実施するなら、中国共産党はすべての国民の行動を監視し、方向付けることができるようになる。
言い換えれば、習は完全な「社会・政治的統制」の力を握るだろうと、中国研究機関メルカトル・チャイナ・スタディーズのサマンサ・ホフマンは本誌に語った。
「このシステムの第一の目的は、党の力を維持することだ」
※おわり〆 .
[ 3 ]
ジョージ・オーウェル 1984年 のビッグブラザーの社会が現実化か
[ 4 ]
国民全員がポイントカードを持つようにするのかな?
[ 15 ]
>>4
日本ではマイナンバーカードと呼ばれるものですお。
日本ではマイナンバーカードと呼ばれるものですお。
[ 11 ]
これって1984の世界そのものなんだよね。
21世紀の中国がビッグブラザーに支配されるとは。
21世紀の中国がビッグブラザーに支配されるとは。
[ 53 ]
>>11
ジョージ・オーウェルだな
俺もすぐ連想した
各家庭の画面通して監視してくんだよね
ジョージ・オーウェルだな
俺もすぐ連想した
各家庭の画面通して監視してくんだよね
[ 12 ]
ゲームの不正行為w
[ 16 ]
絵にかいたようなディストピアで笑えるw
いや笑えんのか・・・
いや笑えんのか・・・
[ 18 ]
一番いい人でも模範囚ぐらい
[ 19 ]
ロシアが監視社会の模範だからね
[ 21 ]
犯罪者が入れない建物や街が出来たら快適そうな気はする。
[ 23 ]
>>21
それは裏を返せばたとえ冤罪であろうと自分が犯罪者になったら追い出されるということ
それは裏を返せばたとえ冤罪であろうと自分が犯罪者になったら追い出されるということ
[ 51 ]
>>23
顔認証冤罪登録でツイッターで検索すると
沢山の被害者のつぶやきが見れる
一度登録されれば解除してくれない、早急な法整備を求めたい
顔認証冤罪登録でツイッターで検索すると
沢山の被害者のつぶやきが見れる
一度登録されれば解除してくれない、早急な法整備を求めたい
[ 57 ]
>>21
それな
高速鉄道や航空機から
犯罪者が締め出されるのは良いこと
それな
高速鉄道や航空機から
犯罪者が締め出されるのは良いこと
[ 24 ]
どうせ共産党員なワイロを受け取っても200点満点
[ 25 ]
中央集権ですね
この世の地獄です
この世の地獄です
[ 26 ]
民度は酷いものがあるが道徳心においては日本人より高い連中だぞ
それが日本みたいなギスギスした相互監視社会になったらもう終わりだ
それが日本みたいなギスギスした相互監視社会になったらもう終わりだ
[ 28 ]
中国が色々がんばってるのは素直に凄いと思うけど
それはあかんわ
カースト制度やろ様は
それはあかんわ
カースト制度やろ様は
[ 59 ]
>>28
カーストは固定されてるけど
こちらはポイント制なのでレベルアップ可能
カーストは固定されてるけど
こちらはポイント制なのでレベルアップ可能
[ 68 ]
>>59
党から嫌われた人だと死ぬまでポイントアップしないよ
党から嫌われた人だと死ぬまでポイントアップしないよ
[ 96 ]
>>68
自分より有能な人間を陥れて党に嫌われるように仕向ける
これを14億の規模でやれば中国社会全体が硬直していく
笑いが止まらん
自分より有能な人間を陥れて党に嫌われるように仕向ける
これを14億の規模でやれば中国社会全体が硬直していく
笑いが止まらん
[ 29 ]
顔認証システムについては、無くすのではなく法整備して欲しい
[ 30 ]
未来少年コナンを思い出した。一等市民のみ日本に来てくれ。
[ 31 ]
中国はええな
日本のほうがずっと自由がない
日本のほうがずっと自由がない
[ 32 ]
これは近いうちに粛清くるな
[ 34 ]
社会信用システムって名前が笑える
[ 35 ]
このシステム、日本に導入したら意外と日本人に馴染むのでは?マイル修行僧みたいなもんだろ。
[ 37 ]
だからって日本には来るなよ
[ 38 ]
これは怖いな。
そして監視カメラの数も異常に増殖してるそうだ。
学校の教室内にもカメラ設置されていて、少しでも反政府的意見などを述べると、それで取り締まり。
特にウイグルなどで、それらの監視が凄いそうだ。
そして監視カメラの数も異常に増殖してるそうだ。
学校の教室内にもカメラ設置されていて、少しでも反政府的意見などを述べると、それで取り締まり。
特にウイグルなどで、それらの監視が凄いそうだ。
[ 41 ]
下位ランクが暴動おこすんじゃないの。
[ 60 ]
>>41
暴動さえ起こさせないようなシステムだと思うわ。
下位ランクの人がお互い連絡を取れないように電話、メール等を使わせなくしてみたりして
暴動さえ起こさせないようなシステムだと思うわ。
下位ランクの人がお互い連絡を取れないように電話、メール等を使わせなくしてみたりして
[ 50 ]
テクノロジーの進化のお陰で
世の権力者が一度は諦めかけた理想の監視社会が実現するとは皮肉なもんですな
世の権力者が一度は諦めかけた理想の監視社会が実現するとは皮肉なもんですな
コメント
コメント一覧 (28)
「正しく運用」がどうすれば実現するかを考え続けなきゃダメ。
そりゃ、ボランティアや献血した人に特典をつけるのは良い考え方なわけだし。
AIによる公正なポイント制とかなら
普通にアリだと思う
金じゃない尺度での社会貢献度毎に待遇を決めるって理想郷だわ
中国に限らず現代の人間に構築は無理そうだけど
宗教感ある
あの世でいい思いしたけりゃ善行積めと。
ご褒美システム
そーゆーのじゃなく良心や善意から生まれた行動の方が尊いと思うなー
子供を交換して育児をそれぞれボランティア扱いにするパワーレベリングだ
何が善行で何が悪行かを国が判断して評価するんだ。
ほぼ独裁制の中国社会全体でそれをやっても良い結果は得られないだろうなあ
日本に来る中国観光客を見ても良民が来てるとは思えないしな
アホだから
集団ストーカーと変わらんな
ただ冤罪のようなものが起きたら復帰できる見込みがないのは惜しい
党やキンペー独裁のためならまだマシだが、
国民管理の主体が人間以外にすり替わってたりして…
ネット右翼が集団で対立意見潰してるの観てると
日本も中国並みのディストピアになりそうで怖い
「非国民は粛清」(要するに自分達に都合悪けりゃ非国民)っていう本質的な点で
中国共産党もネット右翼も同類だから
日本の左翼のことはスルーなんだwww
中国政府の権力が一気に上がるから、対外関係は有利に進めるけど、
中国政府の汚職が拡大して外国のやつと手を組んだりしたら中国人はおしまい。
腐敗は進む一方だろ
反抗手段はテロくらい
犯罪を抑制するという目的だけなら監視社会は良いものだ
しかし、ゲームをやっただけ、政府に反対する意見を述べただけ、その程度で罰するのはむしろますますその不満感を膨らませることになり、結果的に犯罪を増加させるかもしれない
幸福な社会を目指すのが国家の第一目的であるべきであり、近代的な国家の目的は現代の国家に目指されるものではない